榊とは?名前の由来や種類を解説



榊とは、日本の伝統文化において重要な役割を持つ常緑樹であり、常緑の花木で常に青々とした葉をたたえていることから繁栄を意味し、「栄える木」「神様と人間の境にある境の木」等が転じて「サカキ」と呼ばれるようになったといわれています。主に山地や谷間の湿った土壌に生息しており、高さは5メートルほどになります。榊の葉はやや硬めで深緑色であり、葉脈が目立ちます。また、花期は秋から冬にかけてで、小さな白い花を咲かせます。

 

目次

榊は神様と縁の深い神聖な木

榊の名前の由来

榊にまつわるエピソード

ホンサカキとヒサカキの違いは?榊の種類と見分け方

まとめ

 

榊は神様と縁の深い神聖な木

榊は、古くから神聖な木として崇められており、神社や神道の儀式で用いられます。神社の鳥居の両側に植えられていることが多く、また、神社内の神木として大切に扱われます。「木」に「神」と書いて「榊」その名の通り榊は古来より神事の際や神棚に飾る神聖な木として広く用いられてきました。「榊」は日本独自の漢字である国字であることからも日本人にとってはちょっと特別な意味を持つ木といえます。 


 

榊の名前の由来

常緑で常に青々とした葉をたたえる榊は、繁栄を意味し、「栄える木」「神様と人間の境にある境の木」等が転じて「サカキ」と呼ばれるようになったといわれています。その歴史は古く、かの有名な『古事記』には、天照大御神が天石屋戸(あめのいわやと)に篭ってしまった際に、鏡や布などのお供え物と一緒に榊を置いたとされる記述があるほど。日本最古の歴史書にも載っているなんて、驚きですね。
そんな榊ですが、もともとは固有の植物を指すのではなく、その地域ごとに自生する常緑の木を飾っていたようで、地域によっては「サカキ」が椿や楠、杉といった別の植物を指すこともあるそうです。

 

榊にまつわるエピソード

①神話に登場する神木

榊は、日本神話に登場する神木の一つです。神武天皇が即位する前に、神話の神様が現れ、「榊の木を見つけて国土を治めよ」と指示したとされています。これが、榊を神聖な木として崇めるきっかけとなったと言われています。

②『古事記』に登場する榊の物語

『古事記』には、榊にまつわる物語が収められています。伊勢神宮の建立に際して、天照大神から与えられた命令に従い、榊の木を伐採して神殿を建てることになりました。しかし、その榊の木は神聖な木として崇められていたため、神々は木の霊を憐れみ、代わりに肥えた土地を使って神殿を建てるように命じたというエピソードがあります。

 

③『源氏物語』に登場する榊の風景描写

『源氏物語』には、榊の美しい風景描写が収められています。榊の葉が美しく揺れる姿や、清流に沿って生い茂る様子が詳細に描かれており、榊が日本人にとって美しい風景の一つであることを表しています。

こののように、榊には古くから神聖なイメージがあり、神話や物語に登場することが多く、日本文化に深く根付いた木として親しまれています。

ホンサカキとヒサカキの違いは?榊の種類と見分け方

 

国産の榊には、本榊とヒサカキの2種類があります。両方とも神事に使えますが、葉の形に違いがあるため、使用前に確認することがおすすめです。

本榊【ホンサカキ】
本榊は、関東より西の比較的暖かい地域に生育し温暖な気候を好むため、自生地は関東以西に限られ、関東以北では育ちません。モッコク科サカキ属の常緑小高木で、樹高は最大10mほどになります。葉は濃い緑色で、表面が平らなのが特徴で、縁の部分は曲線を描いています。

非榊【ヒサカキ】
ヒサカキは、本榊が生息しない関東以北の寒冷地方で代用されることが多く比較的寒さに強い為、関東・四国・九州・沖縄だけでなく東北の一部の地域でも生育します。ヒサカキはツバキ科ヒサカキ属の常緑小高木で、樹高は最大で7mくらいまで生育します葉がひと回り小さく、縁にはノコギリのような細かい刻み目が入っています。本榊と異なる植物だと示すために「非榊」と呼ばれることもあります。また、本榊と比べて小ぶりな形から「姫榊」と表されることもあります。

サカキとヒサカキの両方が生育する九州や関西地域では、ヒサカキのことを「シタクサ」「シバ」等と呼んで区別する場合もあります。
ヒサカキは生育地域が比較的広範囲であることから、現在は関東を中心とした日本全国で一般的に神棚に用いられています。

 

榊の色が違うのはなぜ?榊の色について詳しく解説 》

まとめ

神棚に榊を飾るのには日本に古くから伝わる長い歴史と伝統があったんですね。1300年以上も前の人もこうやって榊を眺めて願いごとをしたのかなぁなんて考えると、悠久の時の流れを感じられてなかなか良いものです。この素敵な文化を後世までぜひ伝えていきたいですよね!